公益社団法人 宮城看護協会

災害支援

災害支援とは災害現場で必要と判断される医療活動に、宮城県看護協会が必要と認めた場合に支援登録協会員を派遣し、被災者が健康レベルを維持できるように適切な医療・看護を提供する。また、変化した環境の中で暮らす被災者への生活支援なども行います。

宮城県災害支援ナースとは

宮城県災害支援ナースとは、宮城県看護協会に登録し、宮城県看護協会が必要と認めた場合に派遣する看護職です。
災害支援ナースとして登録するには、所定の研修の受講が必要となります。

災害支援ナースの役割

災害支援ナースは、被災者が健康レベルを維持できるように適切な医療・看護を提供する。
また、被災した看護職の心身の負担を軽減し支えるよう努める。

災害支援ナース登録手順

災害支援ナースマニュアル

はじめに
前マニュアル作成後数年を経て、より実践での活用を目指し委員会で実践マニュアルの検討を重ねてまいりました。そのような中、2011年3月11日東日本大震災が発生しました。
この度委員会が目指したのは、より実践的な内容、携帯可能なサイズです。災害支援ナース育成研修の内容も多く盛り込みました。
今後大いにご活用いただき、これからの支援活動をはじめお役に立つことを願っています。

印刷用マニュアル(携帯サイズ) 令和3年2月改定

・宮城県看護協会員であること
・保健師・助産師・看護師・准看護師の資格を持ち、実務経験が5年以上であること
上記の条件を満たしたうえで、災害支援ナースに登録していただくためには、下記の順番で研修を受講していただく必要があります。研修日程は宮城県看護協会ホームページで各自確認をお願いします。
災害支援ナース登録・継続・変更・辞退届

基礎編

研修名「災害医療と看護(基礎編)」

実践編

研修名「災害支援ナース育成研修(実践編)」
研修対象:基礎編の研修を受講し、災害支援ナースへの登録を希望するもの。
基礎編と実践編の研修を受講後、災害支援ナースとして登録できます。

フォローアップ編

研修名「災害支援ナース育成研修(実践編)」
研修対象:基礎編の研修を受講し、災害支援ナースへの登録を希望するもの。
基礎編と実践編の研修を受講後、災害支援ナースとして登録できます。

災害支援ナース活動

  • 準備
    1. 「自己完結型」の心得で参加する
    2. 家族や職場の協力を得る
    3. 体調を整える
  • 役割
    1. 変化した環境の中で暮らす被災者への生活支援
    2. 被災地の医療機関施設で働く看護職員の交代要員
    3. その他災害現場で必要と判断される医療活動

災害支援ナースの活動の場所

原則として被災した医療機関・社会福祉施設・福祉避難所を優先する。

派遣時期と派遣期間

派遣時期:発災後3日以降から1ヶ月を目安とする
派遣期間:一人の活動期間は原則として、移動日を含め3泊4日とする

望まれる資質

  • 行動力:目の前にある事象に対して、まず行動できる
  • 実行力:自分の考えや行動を実行に移すことができる
  • 人間関係調整力:災害という非日常の環境の中で、看護をスムーズに展開するための精神的なフォローを含めた関係調整がとれる
  • リーダーシップ:自己完結型で展開することや災害被災者の看護には、リーダー的資質が必要とされる
  • 臨機応変の対応:災害時には予想外の出来事が多く発生するため、その状況に合わせた対応が必要とされる
  • 主体性:指示や要求を待つのではなく、自ら考えて行動できる
  • 心身の健康:災害の事故によっては、機構の変化や、伝染病の発生の可能性、避難所における環境や睡眠・食事などに対応できる体力と精神力が必要
  • 看護の専門性:避難所支援においては、救急看護やトリアージ、内科、外科、精神科、慢性疾患、地域看護、看護管理を含め幅のひろい看護が必要とされる
  • 判断力:予測困難な事象に対して看護を展開していくために常に判断力が求められる

派遣要請までの流れ(災害支援ネットワークシステム)

支援活動に必要な物品

以下、日本看護協会:先駆的保健活動交流促進事業「災害看護のあり方と実践」1998より引用

支援活動

  • 自身のアイデンティファイ
    持参した方が望ましい物
    災害支援ナース登録証、看護職免許証コピー、看護協会会員証、所属機関の身分証明書、健康保険証のコピー・名札
    状況によって役立つ物
    腕章、ゼッケン(所属を明示した物)
  • 活動に使う物
    持参した方が望ましい物
    血圧計、ステート、体温計、ペンライト、筆記用具
    状況によって役立つ物
    災害発生時 初期:ゴム手袋・衛生材料・懐中電灯
    中期以降:ウェットティッシュ
    活動場所別 医療機関:ナースユニホーム
    避難所:ポケットタイプ内服薬辞典、電卓、電子血圧計

身を守る

  • 自分の身を守るため
    持参した方が望ましい物
    予防衣(エプロン)、マスク、携帯用アルコール消毒剤、自分用の常備薬、雨合羽、手袋
    状況によって役立つ物
    季節 冬季:防寒具、使い捨てカイロ
    夏季:帽子、長袖シャツ、使い捨て吸熱シート、虫除けスプレー
  • 携帯袋
    持参した方が望ましい物
    ウエストポーチまたはリュック
    状況によって役立つ物
    ショッピングバック(巡視相談)

生活する


  • 持参した方が望ましい物
    履き慣れた靴または運動靴(靴底の厚い物)、トレーニングウェア スラックス、長袖シャツ、靴下
    状況によって役立つ物
    季節 通年;ナースシューズ、スリッパ
    冬季:防寒具、使い捨てカイロ
    夏季:帽子、長袖シャツ、使い捨て吸熱シート、虫除けスプレー

  • 持参した方が望ましい物
    携帯食、糖分補給用捕食、 ビタミン、カルシウム補給食品

  • 持参した方が望ましい物
    洗面用具、タオル、洗濯ロープ、洗濯はさみ、洗濯用洗剤、娯楽用品(本・ゲーム)、現金
    状況によって役立つ物
    寝袋

情報源を確保する

持参した方が望ましい物
現地地図(交通路線図入り)、 携帯ラジオ、テレホンカード
状況によって役立つ物
ポケットサイズテレビ、携帯電話類

留意点

  1. 持参する物は、災害の状況や発生後の時間経過、季節、活動場所等により判断する。
  2. 自分自身が支援活動を続け、自己完結型で滞在・移動ができる身支度を行う。
  3. 持参する物には所属・氏名を書く。

支援活動の実際

支援活動の基本

  • 最初に行うこと
    1. 到着後看護協会に到着の連絡をする
    2. 指示された活動場所で受け付け、自己紹介をする
  • 心構え
    1. 個人情報に留意して迅速に情報収集をする
    2. 指示された活動場所で受け付け、自己紹介をする
    3. 自分から出向く姿勢を心がける
    4. 被災者に関わる場合は当面のニーズに焦点を当てて話を聞く
    5. 状況・必要に応じて臨機対応に対応していく
    6. こちらの「したいこと」が被災者にとって必要なことであるとは限らない
    7. 支援者の批判はしない
    8. コミュニケーションを大切にする
  • 態度
    1. 活動は安全確保のため2人で行う
    2. 活動場所においては医療班やボランティアと協力して看護ケアをする
    3. 組織内で自分の役割を明確にしながら活動する
    4. 住民ニーズの集約や継続支援に繋げるために記録を残す
    5. 原則マスコミの対応はしない
    6. 避難所で行われるミーティングに参加する

支援内容

  • 生活環境への支援
  • 食生活への援助
  • 保清・排泄への援助
  • 睡眠・プライバシーの確保に対する援助
  • 活動に対する援助
  • 精神面への援助
  • 健康管理
  • 感染予防
  • 二次災害予防

ストレスチェックと自分自身のケア

災害業務に従事される方は、業務量のオーバー、長時間勤務、悲惨な光景の目撃などによって、様々なストレス反応がおきることがあります。普段以上に、ご自分の健康管理やストレスケアを大事にしましょう。

  • ご自分の健康状態をチェックしましょう
  • 休憩、休息、休養を
  • リフレッシュ、リラックスの時間を
  • 飲みすぎには注意!
  • 仲間同士でお互いの経験や気持ちを話してみましょう!

(宮城県精神保健福祉センター「災害対応に従事されている方へ」より引用)